
法人保険の考え方で詳しく説明しているように、法人と個人とでは抱えるリスクも違いますし、保険選択の基準も全く違います。
個人と同じ感覚で保険を考えていると、大きな間違いを犯すことになり、取り返しのつかない失敗を犯す可能性があります。
個人にも法人にも一番身近な保険ですが、実はその内容について詳しい人は少ないと思います。
個人と同じ感覚では誤った保険に入ってしまいますので、注意が必要です。
搭乗者傷害保険という保険は名前の通り、車に乗っている方への補償になります。
個人で入る保険の場合は同乗者の補償も含めて必要な補償だと思いますが、法人の自動車保険の場合はこの保険があることで逆にトラブルになるケースがあり、また補償の必要性からも加入することに問題があると思われます。
例えば、同じように労災事故で死亡したケースで考えると、工場内で労災事故にあって死亡した方よりも、交通事故で死亡した労働者の方が搭乗者傷害保険の保険金分だけ沢山の補償がなされることになります。その会社の退職金規定や福利厚生の規定等にあっていないケースもあり、労働者の遺族などから同様の補償を求められる可能性もあります。
そもそも単純に労災保険やその他の保険と補償がダブルケースも多く、必要性を再度確認する必要があるかもしれません。
自動車保険のコスト削減を考えるのならば、保険の見直しを考える前に事故削減を考えるべきかと思います。
特に、法人で多数(10台以上)の車両を所有している場合は、損害額や損害率が保険料に非常に大きな影響を与えることを知っていなければ、無駄に保険料を支払うことになります。
保険商品比較よりも事故削減を考える方が保険料コストをコントロールしやすくなります。
事故実態に合わせて加入する内容を検討する必要もあります。免責などをうまく利用することによって事故の損害率をコントロールし、保険料削減に繋げていくことも可能です。
また、近年においては環境問題が非常にクローズアップされておりますが、エコドライブと言う環境に配慮した運転は事故削減に大きく繋がることを考えると、その相乗効果も非常に大きいと思われます。
車両保険とは車体に掛ける補償であり、自動車事故時の修理代や盗難や全損の場合の保険金が出るものです。
車両事故については一般的に発生頻度が高いことや、事故時の保険金支払のスムーズさからも入っているのが好ましい保険です。
しかしながら、個人も企業も加入していないケースが以外に多いのが実態です。
しかし、本当にそれで良いのでしょうか?
と言いますのは、例えばある企業で300万円の自動車を購入して車両保険を掛けていないとします。
保険を基準に考えると、車両保険に入っていないと言うことになりますが、財務の視点から考えますと、300万円のリスクを保有しているという考え方になります。
では、その企業では他のリスク対して300万円の保有を行っているか、というと行っていないケースが大半です。
車両保険のように発生頻度の高いリスクに対して300万の保有を行っているにも関わらず、他のリスクに対して保有を行っていないというのは矛盾する話です。
車を多く使用している企業様については、車両活用度の実態を把握しておられないケースが多いように感じます。
「車両数は適正ですか?」という質問や「車種の選択はどのようにしておられますか?」といった質問に答えられる方が以外に少ないのです。
保険料を安くするために契約内容や補償範囲を考える事も大切ですが、車両管理を改善し、無駄な車両を削り、事故削減に取り組むすることが出来れば、無駄な保険料を支払わなくて済みますし、事故が減少すれば保険料が大きく下がることにも繋がります。
また、車種についても近年の環境問題を考えると、低燃費車への買い替えが税金面においても燃料費面においても非常に大きな削減が図れることを考えると、保険料コスト以外の視点も考える必要があると思われます。
傷害保険を掛けている理由は会社によって様々ですが、主には以下のような理由が考えられるでしょう。
①従業員の福利厚生
②労災事故発生時の治療費負担
③労災事故発生時の所得補償
純粋に①の理由で掛けるのであればまだ分からなくもないですが、もっと他に優先順位の高いリスクが無いかについて考える必要があります。
②の理由については、元々労災保険については治療費は無料のはずであり、保障がダブルことになります。労災隠しの為というのは逆リスクを抱えることにもなるため、ナンセンスです。
③についても同様で、労災事故発生時には休業保障給付が支給されます。
また、傷害保険については定額の補償が大半ですが、所得の保証であるならば、20万の報酬の方と100万の報酬の方では本来金額にも違いがあるはずです。
それを定額にしているとすると、やはり問題があると言って良いでしょう。
傷害保険はなぜ必要なのか?もう一度考えて見る必要があると思います。
自動車保険の項目で書きましたが、300万円の自動車に車両保険を掛けていない企業であれば、下記の例にあるようなリスクはやはり保有すべきだと思います。
傷害保険の補償内容として、治療費の実額を支払うような保険もございますが、基本的には通院1日○○円、入院1日○○円、死亡時○○○○円といった内容が大半だと思います。
しかしながら、通院1日3,000円とすると100日通院しても30万円、入院を5,000円として30日入院しても実は15万円にしかなりません。
一体その金額についてどうお考えでしょうか?実はその程度の金額であれば、保険を掛けずとも自社で保有するという選択肢が必ずあると思われます。
一度ご検討頂いた方が良いのではないでしょうか?もっと保険料を必要とするリスクが他にある可能性が高いと思われます。
傷害保険の保険金支払い要件は、偶然・外来・突発の3つですが、労災事故については必ずその3要件が満たされているとは限りません。
例えばアスベスト被害や最近の過労死やメンタルヘルス等については、同じ労災であったとしても支払の対象にならないことがあります。
同じ労災なのに傷害保険では対象になる人とならない人がいると言うこと自体が従業員間の不平等を生むことになります。
保険の内容と福利厚生や退職金の規定がマッチしていない企業がよく見受けられます。
最初に作った福利厚生の規定や退職金規定が残ったままで保険内容だけが変更されているようなことは無いでしょうか?会社のルールは保険内容によって決まるのではなく、会社が定める就業規則や賃金規定や退職金規定によって保険内容が決まるのです。
そういった一連の規定に沿っていない保険は不平等を生んだり、企業としてのあるべき姿を失う要因にもなったり、組織のルールを乱す結果になりかねませんので、注意が必要です。
傷害保険に入っているため、労災総合保険に入っていない会社は意外と多いように思います
しかしながら、上記に書いたような従業員間の不平等を生まないためには労災総合保険に入ることをお勧めいたします。
保障内容や業種や過去の事故履歴にもよりますが、保険料的にも傷害保険より有利なケースがあります。
しかしながら、欠点としては労災認定がなされなければ保険金が支払われないため、保険支払までに時間が掛かるケースがあります。
すぐに補償の手当てをしたいと考えるのであれば、傷害保険と労災総合保険の組み合わせが良いかと思います。
いずれにしても、保有できるリスクは保有し、重度障害や死亡等のケースのみ保険を活用するのが理想です。
労災が発生した場合、企業は無過失責任を問われて労働基準法における補償をしなければなりませんが、それについては労災保険に加入していれば労災保険で補償が満たされます。
しかしながら、企業側に安全配慮義務違反や職場環境調整義務違反等があった場合については、企業は被害者に対して民事上の賠償責任を負うことになり、非常に大きな賠償に繋がることがあります。
その損害を補償するのが表題の使用者賠償責任保険です。
しかしながら、この保険は労災総合保険には付帯できますが、傷害保険には付帯出来ないケースがあるのでご注意下さい。
また、傷害保険も労災総合保険も加入せず、使用者賠償責任保険だけに入っている企業も見受けられますが、労災事故で賠償問題となるのは被害者のみならず、従業員の安心感や社内の人員に対するイメージからも得策ではありません。
出来る限り傷害保険や労災総合保険との組み合わせをお勧めいたします。
何度も書いているように、企業保険を考える場合は何に保障をかけるのかということが非常に重要になってきます。
生命保険の場合も同じで、人の命に保険をかけるのではなく、決算書に影響を与える可能性のあるリスクに保険を掛けるということをまず忘れないで頂きたいと思います。
ケースとしては以下のようなパターンがあると思います。
①社長の保障(死亡・療養による長期離脱など)
②役員・従業員の福利厚生
③貯蓄性を活用した財務対策(死亡退職金・勇退金の準備、利益の平準化)
それ以外にも節税対策というのはあるのかもしれませんが、それはあくまでも上記の目的を持って行われるものが損金か否かの問題であり、節税自体が目的と言う考え方は保険活用としては非常にリスクが高いことを忘れないで頂きたいと思います。
①の場合でも社長の死亡退職金規定との整合性や社長死亡時に会社の存続を前提とするか、清算を前提とするかによって必要となる保障額は大きく変わってくるので注意が必要です。
生命保険は退職金準備や福利厚生に使われることが多いですが、実はそれらの社内ルールに合わない保障内容になっているケースが少なくありません。
保険内容で社内のルールが決まるわけではなく、会社のルールに合わせて保険内容を考えなければ、保険金が支払われてもそれを従業員に渡せなくなってしまいます。
また、退職金と福利厚生は別物であり、それを混同しているために、保障額が適正でなかったりすることがあります。
死亡退職金と福利厚生もしくは弔慰金などをそれぞれ定めている場合は全て支払う必要があるため、複数の社内ルールが存在する時はさらに注意が必要です。
多くの企業で保険は節税目的に活用されている現状があります。
売り手側の代理店や生命保険の外務員も財務対策としての保険活用の怖さをしらずにお客様の目先のニーズや自身の成績に囚われて積極的に販売している人がいるようですが、私は非常に危険だと思います。
まず、節税商品はあくまでも課税の繰り延べ効果を期待することが前提ですので、いつかどこかで益出しをしなければなりません。
しかし、赤字とキャッシュフローの枯渇するタイミングは別次元でやってくるため、益出しのタイミングを間違えてしまうと、莫大な納税を余儀なくされる可能性があります。キャッシュが欲しくて解約しても、赤字が出なければ益出しの利益を消すことは出来ないのです。
実は、節税目的で保険に入ったことによってキャッシュフローが悪化し、その結果として解約をして膨大な税金を支払うことになる可能性が十分にあることを忘れないで下さい。
企業の生命保険は個人の命や生活を守っているのではなく、企業の財務を守っています。
にも関わらず保険に関わる方々で決算書が読めない人が多いと言うことは本当に問題だと思います。
そして、決算書を読めると言うことは単にB/S P/Lの数字をみれるというだけではなく、そこに数値として乗っていない裏の企業実態を掴むことが必要です。
例えば、皆さんは社長が死亡して会社を清算することを前提とした保障を設定する場合、決算書に載っていない過去勤務債務(退職金の支払の負債)を含んだ保障額の設定がされていますか?
決算書には載っていなくても、退職金規定があれば必ず会社清算時には退職金が支給されるはずであり、退職金規定を定めた時から確定債務として存在しているのです。
それらのことが読みぬけなければ、適正な保障を設定することは出来ないのです。
退職金の支払いは色々な説がありますが、①賃金の後払い、②老後の生活資金、③褒章の3つが大半だと思います。
一方、福利厚生とは従業員のための特別措置であり、基本的には従業員全員に平等に提供されるものです。
退職金はあれば必ず退職金規定を策定し、従業員に周知する必要があり、不利益変更する場合には従業員の同意が必要になってきます。
一方福利厚生は経営環境等に応じて変更することも可能です。
例えば、退職金規定の中で就業年数や勤務成績、基本給などに応じて決まっているのは退職金ですが、死亡した場合に一律1,000万円というのは福利厚生です。
そちらの規定もある場合は両方を支払わなければならないケースもありますので、そのあたりも注意して保険加入することが大切です。
火災保険には保険商品にもよりますが、その構造や目的、場所や作業の内容だけではなく、保管している物や火気の使用の有無、スプリンクラーの設置状況や消防署からの距離、喫煙制限や防火訓練の有無などの様々な割引があることをご存知でしょうか?
保険の素人であるお客様からすると、担当する代理店なり保険会社から教えて頂かないと分からない事が本当に多いと思います。
特に法人の場合等は複雑な建物が多いことから、間違った保険料を支払っているケースは以外に多いものです。一度、しっかりと確認を取られることをお勧め致します。
本来企業としては、いざという時の財務的リスクを移転するために保険を活用しますが、事故が起きないことが一番良く、保険は本来的には使わない方が良いのは間違いありません。
しかしながら、天災等の様にどれだけリスクをコントールしても限界があるものもあります。
その典型的なリスクが地震です。
火災は起きない努力も出来ますが、地震はいつどの規模で起こるのかがわからないどころか、起きることを防ぐ手当てが出来ません。
起きたときに被害を最小限に留める対策を考えるしかないのです。
また、地震は財物損失だけではなく、人的損失や収入減少等にも発展する可能性が非常に高く、地震発生時を想定して保険のみならず様々な対策を考えるべきです。
地震から何を守るべきなのか?それを間違えると致命的な損失を被ることになります。
建物や設備よりも人材という経営資源の優先順位が高い企業も多く、建物等の損失を補てんするための保険にはいるよりも、従業員の命を守るための緊急地震速報等を設置する事の方が大切な場合もあると思います。
御社は火事や地震が発生した場合、何を守らなければならないかが明確に見えていますか?
火事が起きても決算書に影響を与えないものが燃えるのであれば保険は要らない訳です。
火災保険はあくまでも物を守る保険です。
サービス業中心で建物等の固定資産を持たない会社の場合は、財物よりも人材を守るべきなのは当然です。
人材という経営資源を守るのであれば、事故発生後の財務を守る感覚ではなく、事故を起こさないための対策を考えなければなりません。
建物や設備は保険金で再調達出来ますが、特殊能力や会社の歴史を知る人材を保険金で再調達するわけにはいかないのです。
そして、本気で人材を守るためには、時間も場所も関係ありません。
レジャー中でも在宅時であったとしても会社にとっては大損害に繋がるのです。
優秀な人員・重要な人員の場合は、自宅にも火災報知機や緊急地震速報を設置するくらいの取組みが必要かもしれません。
御社は保険に偏った考え方をしたために、本来守るべきものにコストを掛けていないことはないですか?
火災保険で守れるのは、保険内容にもよりますが基本的には火災や風災等の一部のリスクに限定されます。
そのため、何かを守ろうとした時に火災保険だけで全てのリスクから守る事は不可能です。
例えば、情報という経営資源を守る場合を想定して下さい。
重要情報をウイルスから守るのか?誤操作から守るのか?漏洩リスクから守るのか?火事から守るのか?何から守るかによってリスクコントロール対策も変わりますし、掛けるべき保険も変わるのです。
守るものが明確であれば、それに影響を与え得るリスクを想定し、発生頻度や発生強度(損失の大きさ)を予測して、優先順位をつけて対策を実施しなければなりません。
そして、保険が下りても情報財産がなくなるということが今後の経営にどれほどのインパクトを与えうるのか?一度真剣に考えて見ることが必要です。
皆さんは火災事故が発生した場合にどれほどの損害が発生するとお考えでしょうか?火災に限らず、事故というのは派生して損失を拡大させます。
具体的に申し上げますと、工場で火災が発生した場合、当然その建物・機械・造作・什器・備品・商品に関わる財産損失を被ります。
そして、火災によって工場での生産が停止してしまいますと、逸失利益の損害が発生します。
さらに避難経路の確保が出来ていない理由で従業員や来客者が死亡した場合、会社は使用者責任と施設管理責任を問われて賠償責任が発生するでしょう。
当然従業員が亡くなった場合は人的損失を被ることになります。
それ以外にも会社のブランド喪失や風評被害などを考えると、火災保険に入っていれば良いと言う様な問題ではないことは容易にご理解頂けると思います。
特に、火災から派生するリスクとして大きいのが収入減少による損失です。
会社によっては財物損害よりも収入減少の損害の方が大きくなる場合も少なくありません。
にも関わらず、火災保険には入っているが、利益保険には入っていない企業が多い事に驚きます。
決算書を守ると言いますと、どうしてもB/Sの資産を守ると言うイメージを持つと思いますが、単年度の結果であるP/Lが悪くなると、当然の事ながらB/Sに大きな影響を与えます。
火災保険はB/Sの資産を守るものですが、P/Lの売上を守る保険についても考えておかなければ、建物等の立替費用が賄えても、再び売上が上がるまでの収入減少損失で倒産することも考えられるのです。
火災保険で守れるのは、保険内容にもよりますが基本的には火災や風災等の一部のリスクに限定されます。
そのため、何かを守ろうとした時に火災保険だけで全てのリスクから守る事は不可能なのです。