
保険を見直すと言うと、単に保険料が安くなることをイメージする方が多いと思いますが、それは違います。
一番大切なのは、保険料が安くなるということだけではなく、その契約が企業にとって効率的かつ有効な保険契約か否かということです。
つまり、企業が事故や事件を起こしてしまった時に、本当に使える保険であるか否か、その会社のリスク量に見合った効率的な保険設計になっているか否かが大切なのです。
ですから、保険契約の見直しをすることで逆に保険料が高くなるケースも考えられるということを念頭において考えて下さい。
保険は入ることが目的ではなく、有事の際に企業の財務をしっかりと守ることが目的なのです。
お守り代わりの保険こそ無駄な保険であり、必要の無いものです。
有事の際にしっかりと必要な補償がされることが何より重要であり、そうでないなら保険料を払う意味がありません。
保険を見直すには大きく分けて二つの方法があります。
一つはリスク対策を改善することによって保険契約を見直すというものです。
保険はリスク対策の一つであり、リスク対策全体を見直すことによって保険の活用方法も変わります。
リスク量を下げることによって保険料を下げるのが正当な保険料削減です。
そして、もう一つは保険契約・補償内容の改善です。
お客様のリスク量に見合った保険設計になっているか?保険契約が実態に照らして適正に付保されているか?
重複や抜け落ちが無いかをしっかりと確認しなければなりません。
さらに、リスク対策の改善はリスク量を下げる対策と保有対策の構築という二つの手法に別れ、保険契約の改善は保険商品の選択と保障内容の適正化に分けられます。
それぞれの改善策の特徴を以下に詳しく説明致します。
当たり前のことではありますが、保険料の算出には根拠があります。
保険にはブランド料金や材料費が掛かっているわけではありません。
また、他社との保険料比較の中で保険料が決まるわけでもありません。
保険料は引き受けるリスク量に応じて決まるのです。
従って、単に保険料を下げるだけを考えると、保障内容や補償額を下げる以外には基本的に方法は無いといっても過言ではありません。
このページで申し上げるのは、保障内容や補償額といった保険の内容を全く変えずに、リスク量を減らすことによって保険料を下げたり、保険契約を改善する方法論です。
これは先に述べた保険契約の適正化を目指した見直しとは全く違うことをまずご理解頂きたいと思います。
リスク量を下げることによって保険を見直す例としては、自動車事故を減らすことによって自動車保険料を下げたり、火災防止対策を講じることで火災保険料を下げたりすることです。
具体的なリスクコントロール対策を行うことによってリスク量を下げ、その結果として必要のない保障を省き、同じ補償でも割安な保険料で加入することが出来るようになることで、保険調達力を上げることに繋がります。

強い財務を作る前提条件は保有体質の構築です。
本来保険というものは、自社で保有しきれない大きなリスクに対して掛けるものであり、自社の財務力で保有出来るリスクは保有することが前提なのです。
したがって、保有能力が高い会社は自ずと保険への依存度が低まり、結果保険料の支払が少なくなります。
このページでお伝えするのは、前頁のリスク量を下げて、保険調達力を高めるのではなく、保有体質を強化し、リスクの財務への影響度を低めることによって、保険調達力を高める対策だと理解頂ければ結構です。
また、発生頻度が低いリスクや発生の強度に限界があるリスク等については、その部分について保有対策を優先し、保険を使わないという改善方法もあります。
また、保有対策をうまく活用することによって、事故を減少させ、保険調達力を高めるという方法も良く取られます。
保有対策の具体例としては、毎月10万円のリスク対策費の積立を行うことによって、1年で120万のファンドを構築し、120万円の免責設定を行ったり、全焼することの無い巨大マンションの補償を10億と限定し、10億以上の損害は保険を掛けずに保有をしたりします。
また、小さな労災事故については、あえて保険を掛けずに保有したり、自動車事故などについては、事故を起こしたときの損害を10万円まで個人負担とするルールを作り、10万円までは免責設定をし、保有することで、事故が削減され、結果として保険料が下がることもあります。

同じ補償を求める場合でも、使う保険会社、保険商品、特約の選択によって保障内容や保険料が異なってくるため、見直しを行うことでさらに効率的な保険活用を行うことが可能です。
また、保険の組み合わせによって無駄が生じたり、不必要な特約がついているなど、保険設計によって無駄な保険料を払っているケースがありますが、お客様自身ではそのような事に気付いていないケースが多い為、それを改善するのです。
また、全く同じ保障内容の保険に入る場合でも、保険加入するお客様の状況によって、保険期間や支払方法等を変える場合もあります。
それ以外にも、保険会社のレーティングの仕方によって、不当に高い保険料を支払っていたり、保険料算出の根拠となる条件設定に間違いがあるケースも非常に多いのです。
具体的には、同様の保障内容の保険でも保険会社によって保険料に違いがありますし、保険料は変わらなくても補償内容や掛け捨て部分の割合等が大きく異なる場合もあります。
また、同じ保険会社の場合でも、従業員の補償を考える場合には傷害保険と労災総合保険のどちらを選ぶかによって保険料も補償も大きく変わりますし、保険料算出の基準も違います。
同じ補償の火災保険に入る場合でも資金にゆとりがある場合は1年ではなく、長期契約にすることもあります。
また、場合によって単品の保険商品ではなく、いくつかの保険をまとめることによって保険会社と交渉し、有利な条件で保険契約を締結することも考えられます。
契約の際には無駄な保険料を払うことがないように細心の注意が必要です。

本来の保険契約の適正化は単なる保険商品の内容の問題ではなく、お客様のリスク量に見合った保障内容になっているかいないか、契約内容に見合った保険料かをチェックすることで改善を図ります。
本来、保険の活用は経営全体のリスクマネジメントが目的であり、手段としての保険活用自体が目的となると意思決定を大きく誤ることになるため、注意が必要です。
近年、火災保険料の取りすぎの問題がクローズアップされましたが、火災保険は建物の構造や評価によって保険の掛け方が大きく違います。
誤った前提条件を用いると、必要以上の保険料を払うことになったり、最悪なケースでは適正な保険料を支払っていなかった為、事故が起きたときに保険金がもらえない事も考えられます。
まず、保険加入の際にその前提条件を明確にし、適正に保険加入すること、そしてその内容が企業のリスク量に合っていること、さらには企業全体のリスク対策との整合性が極めて重要です。
例えば、企業内の就業規則や退職金規定、福利厚生規定などの各種社内ルールに適合しているかも必要な条件です。
また、経営の視点からリスクマネジメント全体を考えた時、リスク対策コストが保険に偏っていないか?全体のリスクに対して優先順位の高い順番にコストが掛けられているか?また、保険でカバー出来ていないリスクが無いかのチェック、保険でカバー出来ないリスクについての対処状況から保険契約の見直しが発生することもあります。
保険加入は企業防衛の手段であり、目的ではありません。
保険ありきで考えると重大な意思決定で過ちを犯すことになります。