ご提案のプロセス

【A.I.Pの保険提案フロー】

A.I.Pはお客様の安心・安全な生活・経営を実現することを目的とするため、単なる保険の比較論やお客様のニーズに単純に応えるだけではなく、しっかりとしたリスクの調査・分析に基づいた最適提案を目指しています。

具体的には以下のプロセスを通して最適提案をさせて頂いています。
保険を掛けるにおいても、リスクマネジメントを行う上でも前提となるのは、抱えるリスクが全て見えているということです。
リスクが見えていなければ対策が打てないばかりか、事故が発生した際には取り返しのつかない損失を被ることに繋がります。
また、洗い出した多くのリスクの中で、どのリスクから対策を実施し、コストを掛けるべきかの優先順位を付けるプロセスも非常に重要です。

対策検討についても保険は万能ではないことを前提に、リスクコントロール対策を含めた様々な対策を検討する必要があります。
A.I.Pにおいては保険商品を選択し、提案するプロセスよりも適正なリスク調査・分析を基にあらゆるリスク対策を検討する中で保険を如何に活用するかというプロセスを重視しています。
保険商品の選択はリスクの調査・分析・対策の検討を十分に行い、保険を掛けるべきリスクを明確にした上で最後に行うプロセスであると考えています。

A.I.Pの理想とする保険提案のプロセスは下図の通りです。 勿論必ずこのプロセスを踏まなければならないと言うわけではありません。
しかし、その企業のリスク実態を把握することが適性提案に繋がることを考えると、以下のプロセスを踏まえることが必要になります。


①リスクの調査(洗い出し)
②リスクの分析
③リスクマトリクスの作成
④ハザード分析
⑤リスク対策の検討 ⑥リスクコントロール対策
⑦リスクファイナンシング対策
⑧リスクマネジメント規定書の作成
⑨事業計画への落し込み
保険提案


【① リスク調査(企業の抱えるリスクを漏れなく洗い出す作業)】

自社の抱えるリスクを洗い出し、そのリスクをしっかりと認識している企業は実は少数派です。
しかしながら自社の経営を揺るがすリスクは、経営者として必ず把握しておく必要があります。
リスク対策はリスクが見えてなければ打つことは出来ないため、リスク調査はリスクマネジメントを実践する上で最も重要なプロセスと言っても過言ではありません。

リスクを全社的に洗い出す作業は経営の大きなヒントになりますし、全ての従業員のリスク感性を高めることに繋がります。
リスク調査は出来る限り多くの人の目を使い、様々な視点から、様々な手法で行うことが必要です。

リスク調査の手法例
・経営者・役員・従業員のヒアリング
・書類調査(決算書・会社案内・固定資産台帳・就業規則等の社内規程・契約書等)
・現場調査
・アンケート調査


【② リスクの分析】

強い会社を作るために、企業は影響度が大きく、優先順位の高いリスクからしっかりと対策を打つ必要があります。
優先順位付けを間違うと無駄なリスク対策費を掛けるばかりでなく、致命的な損害を被る可能性がありますので、注意が必要です。
細かいリスク分析ではなくても、自社にとってどの程度の影響度があるリスクかについては、最低限把握しておくべきでしょう。
リスク分析は以下の2項目について行います。

・リスクの発生頻度の分析(発生確率・発生件数等)
・リスクの発生強度の分析(損害額・損害の大きさ・影響度等)

実際には明確な定量分析(特に発生頻度)は非常に難しいので、余り拘りすぎると時間とコストばかりを掛けすぎることになってしまいます。
中小企業の場合には、細かい定量化が必要な訳ではなく、優先順位をつけることを目的として、甚大な影響・大きな影響・小さな影響等のように言葉でそのリスクの重要度を測るくらいの方が現場にも分かり易いかもしれません。
但し、リスク分析は最悪を想定して行うことを忘れないで下さい。

リスク評価(洗い出し・分析)については、どこまでやるかによって作業量もそれに伴うコストも変わってきます。
最初は簡便な方法を使ってでも結構ですので、安定経営を実現するために、実行してみる事が必要だと思います。


【③ リスクマトリクスの作成】

個々のリスク分析が出来たら、今度は自社の財務基準を用いたリスクマトリクスを作成し、その中に洗い出したリスクをプロットしていきます。
リスクマトリクスを作成することで個々のリスクの影響度と優先順位が明確になります。
社内におけるリスク認識を共有し、リスク感性を高める上で非常に有効なツールになります。

・縦軸には発生強度(財務基準値もしくは定性的な表現)
・横軸には発生頻度(発生確率・発生件数もしくは定性的な表現)


1: 発生強度の基準値の設定

財務的な基準値は一般的に以下の4つの基準値をベースに考えます。

・リスク境界値:自己資本(純資産)を基準に設定
 →これを超えるリスクが顕在化した場合は債務超過に陥る基準値

・事業危険値:経常利益を基準に設定
 →この境界値を越えるリスクが顕在化すると赤字決算に陥る基準値

・キャッシュフロー境界値
 →この境界線を越えるリスクが顕在化すると借入れか資産処分をしなければキャッシュが不足する基準値

・保有限度値
 →この境界値を下回る強度のリスクについては、大きな影響はないとする基準値

以上が一般的な基準値の設定方法ですが、企業によっては決算書の数字をそのまま転記しても実態とかけ離れてしまうケースがありますので、注意が必要です。
具体的には自己資本よりも利益の方が大きい会社もありますし、赤字でもキャッシュフローにはゆとりがある会社もあります。
そのような場合は経営者と相談をして基準値を決めていくことになるでしょう。
また、中小零細企業の決算書は時価基準で作成していないケースが大半であり、含み益や含み損、退職金の債務等が決算書上には表記されていない場合が多いからです。


2: 発生頻度の基準値の設定

発生頻度の基準は25%、50%等のように確率で設定するケースが多いですが、期間を5年以内、10年以内、無期限というように時間的な側面を入れることが多いです。


3: リスクマトリクスへのプロット

マトリクスが完成すると、個別に分析を行ったリスクをプロットしていきます。この場合の注意点は派生リスクも含んだ発生強度(損失の大きさ)を用いるということです。
また、明確な定量分析が出来ないリスクがある場合は他のリスクとのバランスを見ながらプロットすることも必要です。

リスクマトリクスを作成し、全社的に共有することによって、社員に会社が抱えるリスク状況を明示出来ると共に、リスク感性の共有化に繋げることが可能となります。
また、経営陣としては、少なくとも自社にどこまでの財務的な体力があるのか?いくらまでの損害に耐えうる財務力があるのかが明確になると共に、どのリスクが顕在化した場合に債務超過になるのか?どのリスクが顕在化したら赤字になるのかを把握することにも繋がります。

優先順位は当然の事ながら、下図の「Ⅰ」→「Ⅱ」→「Ⅲ」→「Ⅳ」の順番になりますが、財務的な基準だけでは図れないケースもありますので、優先順位付けを行う場合には注意して下さい。



【④ ハザード分析】

リスク調査・分析を通してリスクマトリクスを作成し、対策の優先順位が明確になったら、次のステップは優先順位の高いリスクからリスク対策の方向性を探ります。

リスク対策(特にコントロール対策)を具体的に実施するためには、その事件・事故がどのように発生しているかのメカニズムを把握する必要があります。
損失発生のメカニズムを理解するためには以下の4つのキーワードをしっかりと理解する必要があります。

 ①ハザード:事件・事故(ペリル)発生の要因・原因・環境
 ②ペリル:事件・事故の事象そのもの、損失(ロス)発生の直接的原因
 ③ロス:損失
 ④リスク:上記のハザードからペリル、ペリルからロスに繋がる一連の不確実性

①~③への流れとしては、下図のハインリッヒの法則にあるように、数千のハザード(要因・原因・環境)からペリル(事件・事故)が発生し、330分の1の割合で重大なロス(損失)が発生し、330分の300の割合でヒヤリ・ハットに留まります。この一連の不確実性をリスクと言い、①~③の流れを包括した概念となります。
リスクとは未だ発生していないものを指す為、リスク自体をコントロールすることは出来ません。
リスクコントロールは、今あるハザード(原因・要因・環境)に対して対策を打つことであり、ペリルに繋がるハザードを分析することがリスク対策にとっては非常に重要なのです。

しかし、下図のハインリッヒの法則からも分かるように、一つのリスクに対してハザードは複数存在し、数あるハザードの中でさらに優先順位をつけ、リスクに大きな影響を与えるハザードから優先的に対策を行う必要があります。
優先順位の高いハザードから対策を講じることが効果的なリスク対策に繋がるからです。
実際にはリスクに対する効果と対策に掛かるコストを予測しながら最適手法を選択することになります。

また、ハザードにはリスクの発生頻度に影響を与えるハザードとリスクの発生強度に影響を与えるハザードに大きく分かれます。
例えば、火災を例にとると、火気の使用状態は発生頻度に影響を与えるハザードになりますが、防火壁やスプリンクラーの有無や建物の規模は発生の強度に影響を与えるハザードとなります。
ハインリッヒの法則で言うと、数千の発生頻度に関わるハザードから330のペリルが発生し、330のペリルから重大な事件事故や何らかの事件事故に繋がるために発生強度に関わるハザードが関与しているのです。


【⑤ リスク対策の検討】

下図にありますように、リスクマネジメントと言いますと、直ぐに保険のイメージを持つ方が非常に多いかと思いますが、実は保険はリスク対策のごく一部であり、ある意味最後の手段と言っても過言ではありません。
リスク対策は大きく以下の二つに分けられます。

1: リスクコントロール

リスクの発生頻度や発生強度(損失の大きさ)をコントロールし、出来る限りリスク量を減らそうとする取り組みです。
近年よく言われる「コンプライアンス」や「コーポレートガバナンス」、「内部統制」はリスクコントロール対策に含まれます。
企業も個人も事故を起こさない事が最善であり、CSR(企業の社会的責任)を実践するためにも、必要不可欠な取り組みです。
リスクコントロール対策はさらに以下の二つの対策に分けられます。

・「事前対策」

→事故が発生する前にとる対策のことであり、もっとも優先されるべき対策です。

・「事後対策」

→事故発生時に損失を最小限に抑えるために行う対策であり、緊急時の対策や復旧に関わる対策をさします。


2: リスクファイナンシング

事故時に発生する経済的損失に対して取る対策であり、企業の場合は財務基盤を守るために取る対策のことです。
リスクファイナンシング対策は以下の二つに分かれます。


・「保有対策」

利益や自己資本でリスクを吸収したり、事故の発生に備えて、引当金や積立金・準備金を積んだりする積極的な保有対策と銀行等からの借入れや資産処分で対応する消極的対策に分けられます。

・「移転対策」

事故発生時の経済的損失を他社に移転する手法であり、最も身近な対策としては損害保険や生命保険が挙げられます。近年は証券化やデリバティブ等の手法も採られることが増えています。


【⑥ リスクコントロール対策】

事故を起こさない為に企業は最善を尽くす義務があり、それを怠って事故を発生させた場合、その社会的責任を問われ、直接的な損失のみならず、風評被害によるブランド喪失や売上減少等の間接的損失を被ることになります。
保険に入っている、十分な財務力があるからといってリスクコントロール活動を怠って良いわけではありません。
企業不祥事が後を絶たない現状においてリスクマネジメントの必要性が叫ばれていますが、社会から求められているのは保険にしっかり入ることではなく、事件・事故を起こさないことです。
「内部統制」、「コーポレートガバナンス(企業統治)」、「コンプライアンス」等の言葉が新聞等でも良く目にするかと思いますが、これらは全て「企業の社会的責任」を前提とした「リスクコントロール対策」に他なりません。
リスク社会において企業が安定的な経営を実現するためには、リスクコントロール対策は必要不可欠です。
リスクコントロール対策には主に以下のような対策があります。

1: 回避

リスクを伴う経済活動自体を止めてしまう取り組みです。
一見一番シンプルで直ぐにでも出来そうなイメージを持つかもしれませんが、一番決断が難しく、実施に困難を伴う対策です。
この対策が実施出来なかったために、不祥事を起こしたり、企業を倒産に追い込んだパターンが数多くあります。


2: 発生強度の低減対策

リスクの発生強度(損失の大きさ)を減少させる取り組みであり、主に以下の3つに分かれます。

・軽減対策:設備の設置や業務プロセスの構築等によってリスクの影響を小さくする取組

・移転対策:コストを負担して、リスクを他社に移転する対策です。

・分散対策:本社や工場を分散して1事故当たりの損失を減少させる対策です。


3: 発生頻度の低減対策

リスクの発生頻度を減少させる取り組みであり、以下の二つの取り組みに分かれます。

・予防対策:点検や教育やマニュアル作成によって発生の頻度を低める対策です。

・保管、予備対策:事前に予備の車両や発電機を準備することで発生頻度を低める対策です。


4: 容認

発生頻度・発生強度共に低いリスクに対してはあえてコストを掛けて対策を採らず、リスクを受け入れます。
このプロセスはリスクを無きものとするのではなく、リスクがある事を認識しながらも、全体の優先順位やコストを考えてあえて受け入れるプロセスであり、リスク量の増減を継続的に監視するプロセスです。


5: 統合

リスク自体をコントロールするのではなく、合併や資本提携等を通して、企業の財務力を高め、リスクの企業に対する影響力を低める対策です。



【⑦ リスクファイナンシング対策】

事故発生時の経済的損失を補うための対策であり、財務に影響を与えるリスクを想定し、計画的に財務戦略を立てることにより、リスクに強い財務を作り上げることが可能となります。
強い財務を構築するポイントは以下の4つです。詳しくは財務戦略としての保険活用をご参照下さい。

利益(P/Lの範疇で行う対策であり、利益が大きい程リスクを吸収する力がある)
自己資本(B/Sの範疇で行う対策であり、自己資本が大きいほどリスクを吸収できる)
資金調達力(事故発生時又は事故発生前の資金調達であり利益と自己資本(純資産)に左右される)
保険調達力(リスクコントロール対策によってリスク量を減少させたり、計画的な保有対策で利益や自己資本の厚みを持つことで、保険の引き受けを可能にしたり、保険への依存度を低めて保険を安く調達する取組みです。)

具体的なリスクファイナンシング対策は大きく「保有対策」と「移転対策」に分かれますが、その特徴は以下の通りです。

1: 保有対策

・積極的保有: 利益の範疇で損失を保有することで損金処理をしたり、事故発生前に積立をしたりして事前に事故に備える対策。
・消極的保有: 事故を想定していなかった為、保有せざるを得なくなった場合の保有対策であり、事故発生時の借り入れや資産処分等が事例として挙げられます。

2: 移転対策

・保険: 最もポピュラーな対策であり、保険にリスク移転出来るリスクについては保険を活用するのが最も一般的で信頼性が高い対策です。
・保険以外: ART(代替的リスク移転手法)と言われ、証券化やファイナイト、デリバティブの活用等が代表的なものとして挙げられます。


【⑧ リスクマネジメント規程書の作成】

リスクマネジメント(特にリスクコントロール)は、経営者や管理職といった上層部のみならず、末端の従業員やパート・アルバイト・派遣社員、場合によっては子会社や取引先まで含めて共通の認識を持って取り組まなくてはなりません。
一旦事故が起きてしまいますと、会社は発生原因を問わず損失を負担し、管理義務違反、注意義務違反を問われ、場合によっては経営陣が株主代表訴訟を起こされる可能性もあります。

全社的にリスク対策に取り組むためには、その会社に関わるリスク対応についての規定を備える必要があり、会社に関わる人員はそのリスク管理規程書をベースとしてリスク感性を共有し、事故発生時の対処について共通の認識を持つ必要があります。

2006年に施行された「新会社法」の中にも「損失の危険の管理に関する規定その他の体制」(下記参照)を構築することが定められており、企業にとってリスクマネジメントに関する規定書の作成は必要不可欠になってきております。
その中には、リスクコントール・リスクファイナンシング等の対策についても触れる必要があり、これからの保険対策は全社的な視点から作成されたリスクマネジメント規定書に準じて付保されるのが正しいと考えられます。

リスク管理規程書規定例
 ①リスクマネジメントの必要性について
 ②弊社を取り巻くリスクについて
 ③リスク対策について(リスクコントロール・リスクファイナンシング)
 ④危機管理について
 ⑤リスクマネジメント評価について
 ⑥リスク対策の維持・改善




【⑨ 事業計画への落し込み】

近年、事業理念・ビジョン及び事業計画を真剣に作成する会社が増えてきました。
景気の良い時は何もしなくても利益が上がっていた企業も近年のように環境変化が激しく、経営の舵取りが難しい社会になると、明確な理念・目標・戦略に基づいた事業計画を作成し、全社一丸となって取り組むことが必要であることは間違いのない事実です。
しかし、安定経営やビジョンの実現を目的として作成する事業計画に、それを阻害するリスクの視点が全く入っていないケースが余りにも多いのです。

安定経営を実現し、ビジョンを達成するためには、発展のマネジメントと存続のためのリスクマネジメントの両軸がバランス良く働かなければなりません。
一般的に規模拡大が進み、組織が発展すればするほど抱えるリスク量も同時並行的に増加していきます。
建物等の資産は持たなければ失うリスクはありませんし、ブランドも価値が上がれば上がるほど失うリスクは大きくなるのです。
しかし、大多数の企業は売上目標や利益目標を立て、それを実現するための戦略は描いていますが、目標達成を阻害する、若しくは事業の存続を阻害するリスクに対する戦略構築が出来ていないのが現実です。

事業計画を狂わせるのは不安定要因であるリスクであり、毎年変わる経営環境や財務状況に応じた対策をしっかりと立て、事業計画に折り込むことで、企業は安定的な経営を実現出来、事業計画の達成確率を上げることが可能になるのです。
是非、皆さんも企業のお客様の事業計画の作成にリスクの専門家として関わることをお勧めいたします。

個人でライフプランを描き、必要な補償を提供するように、企業においても事業計画を立て、その中で必要となる補償を考えなければ、安定経営を支える役割を持つ保険を本当に活用しているとは言えないのではないでしょうか?
是非、皆さんの会社におかれましても、事業計画を立てる際にリスクの視点を盛り込む事をお勧め致します。安定経営の実現、ビジョンの達成の確率が上がることは間違いありませんし、保険の視点ではなく、経営の視点から必要な保障を考えることで保険の活用の仕方も大きく変わるはずです。